猟奇的ゆとり虚言癖

よくお前ほど普通の人はいないと言われます。

【大特価】感性セール‼︎

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一番好きな映画はピンポンだと言うと嘲笑されるのですが私は窪塚洋介が、大好きです

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時々、邦画好きな人と映画話をしたりするんです。

邦画好きと言うだけあって、レンタルビデオの邦画コーナーは我が手中にありといった手ごたえを惜しげもなく披露してくれるんです。

少数派かもしれないけど、私は人の自慢話が割と好きで、自慢ができると言うことは何か特筆する知識や技能が、彼あるいは彼女に備わってることを意味し、その知識を無料にてご提供して頂けるまたとない機会であります。

もし私よりもその事柄に詳しくなくても、ただ人の自慢話が好きなので全然苦じゃない。

むしろ、俺の方が知ってますけど戦争を勃発させ合いたい。

あーそれ知ってますけど、さらに言うとここがこうでこうなりますとここらへんがこんなんなりますという鍔迫り合いに近いエンドレススピーキングを展開させたい。

そして、邦画好きとのエンドレススピーキング中に必ず出てくる話題。

 

一番好きな映画なに?

 

ここが邦画好きの最大の自慢ポイント、つまり自らの武器をお披露目する瞬間である。

 

故に、考えに考えるところでもある。

 

自分のセンスを問われ、なぜ好きなのかという理由に関しても基礎はしっかりと踏みつつオリジナリティを混ぜ込ませ、まるでその批評が現代アートの如く見る人が見れば最大の効果を得られるコアさという部分に力を注ぎ込みつつ、誰にでもわかるキャッチーさを全面に出すことが求められる。

 

故に、悩みどころである。

 

アレはあまりに有名すぎて...とか

誰も知らなすぎるのは狙いに行ってるし一番っていうのは言い過ぎ感がすごいしな...とか

ちょうどいい一品を探しに探し回るのだ。

そんな中、私の一品は

 

ピンポンである。

 

どメジャー中のどメジャー

俳優も窪塚洋介を主演に迎え、ARATA大倉孝二中村獅童夏木マリ竹中直人と誰でも知ってる豪華絢爛メンバーに脚本宮藤官九郎というあまりにキャッチーすぎるメニューである。

理由も「好きだから」という一言。

これを聞くと大抵の邦画好きは先ほどまでの真剣なる鍔迫り合いは嘘かのように、一兵卒を見る目で「へっ?」っと小鼻を膨らませる。

 

そして、

「まぁ確かに面白いもんね」

 

と続け

「わかるよ、ピンポンには全てが詰まってるからね」

 

というフォローをしてくれるのである。

そして、私はそのフォローに満足げな笑みをこぼし

 

「そうなんですよ!ピンポンが一番面白いんですよ!」

 

と返すのである。

ボクシング、空手、プロレス、カポエラ、あらゆる技術を披露したところで最後は腕相撲で決めよう、そして抱きしめ合おう。私はそう言いたいのだ。

これは全ての武器、防具を捨てた私の全裸に等しい行為であり、私の力み切った股間が彼あるいは彼女の心のブラジャーのホックを外しにかかる。

そしてブラジャーが外れた邦画好きは、こう言うのである。

 

俺は何だかんだ、やっぱり「GO」かな

 

 

窪塚は偉大である。

私がアカデミー賞を取るに至った経緯

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ポストに真っ白な封筒が届いた。

差出人は、ハリウッドか...

私はそれを半分に破り、重ね、また破り、を繰り返してバラバラになったそれを自分の頭上にぶん投げた。

紙吹雪が、私を覆い尽くす。

ひらひらと舞い散る文字をもれなく読み解き、私は手紙の内容を瞬時に理解した。

 

なるほど、アカデミー賞に選ばれたか

 

数日後、私はハリウッドにいた。

アカデミー賞の授賞式には大量のマスコミやファンで溢れ返っている。

皆が待っている中、レッドカーペットの前に一台のリムジンが止まった。

その後部座席からジョージ・クルーニーリュック・ベッソンベン・ジョンソンなど有名ハリウッドスター達が降りてくる。

 

周りの群集が湧き上がる中、ついに私がリムジンから姿を現わす。

瞬間、先ほどまでの盛り上がりが嘘のように場が静まり返った。

まるで時間が凍ってしまったかのような静寂。

そんな中、誰かが言った。

 

「ナ、ナカノシマ...」

 

刹那、喝采の嵐が吹き荒れた。

ナカノシマコールが始まり、右から左、左から右へとウェーブが起こる。

群集を警備員が必死に止めているが、破られるのも時間の問題だ。

私はサングラスを外し、天使の微笑みスマイルを向けると、あまりの天使さに人々が恍惚の表情を浮かべ失神する。

これがハリウッドスター、ナカノシマである。

 

アカデミー賞授与式が始まり、私は主演男優賞、監督賞、抱かれたい芸能人ナンバーワンなどを総ナメにした。

私が壇上に上がると、おじいちゃんが豪奢な2メートル強はあるトロフィーを私に渡す。

溢れんばかりの歓声、止まない拍手喝采、美女達の抱いてコール。

それを天使の微笑みスマイルで抑え、私は流暢な英語で感謝の意を示す。

 

「アイム、ナカノシマ」

 

その一言で、ファンやマスコミだけでなく周りのハリウッドスター達もが涙を流した。

生い立ちから読み取れる人生観

好かれに好かれる人間性

あまりに感動的なアカデミー賞を取るに至った経緯

その全てがネイティヴでバイリンガルなイングリッシュによるスピーチで皆の心に染み渡ったのだ。

 

人々が口々にナカノシマ、マイエンジェルと呟いた。

その光景が全国に放映され、全米がマイエンジェルになる。

 

ナカノシマ、マイエンジェル。

 

ナカノシマ、マイエンジェル。

 

ナカノシマ...

 

 

...朝か。

 

ハリーポッターを知らない私が、こんなハリーポッターは嫌だTOP5を発表

ハリーポッターって人気の映画があるらしいですね。

ハリーはわかるけどポッターってwwwww

名前がポッターってwwwwww

あっ外国だと下が苗字だからポッターが苗字だwww

という感じの私が、こんなハリーポッターは嫌だTOP5を発表します!

 

 

第5位  先生の後頭部がヴォルデモートだ

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これは嫌ですねー。

そこにおんのかいっ!っていうねー

その為のターバンかいっ!っていうねー。

あの先生汗っかきっぽいからヴォルデモート蒸れ蒸れになってますよーってねー。

 

 

第4位  ロンがハリーのお金で買ったお菓子を自慢げに解説してくる

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なんかムカつきますねー。

さっきまでお金ないからってショボくれてたのに一瞬で調子乗りますからねー。

ハリーに対して「知らないの?!」っていう顔が腹立ちますねー。

 

 

第3位  ダンブルドアが水責めにあってる

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これは嫌ですねー。

学園のトップが無理やり水飲まされてるのは嫌ですねー。

でも吹き替えで「嫌じゃ」っていうダンブルドアが可愛いと思ったのは私だけでしょうか。

 

 

第2位  闇の魔術に対する防衛術の先生が代わりすぎる 

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次の映画までもたないですねー。

生徒側も毎回覚えるの大変そうですからねー。

大体ここからトラブルになるので取り敢えず就任したら殺せばいいのにと思いますねー。

 

 

第1位  スネイプ先生がめちゃめちゃいい人だ

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これは嫌ですねー。

悪役としてもカリスマ性がえげつなかったですからねー。

昔ハリーの父親に虐められてたのに愛する人の子供であるハリーの為に生きた感じが嫌ですねー。

セブルス!!なんでそんなに不器用なんだセブルス!!!もっと幸せになって良いだろセブルス!!!!と叫びたくなりますねー。

嫌ですねー。

 

あーハリーポッター見なおそ

 

バカ発見器

嘘発見器ってありますよね。あの容疑者が嘘ついてないか調べる時に使うやつ。

それと似てるんですけど、バカ発見器を発見しました。

これです。

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店員がフロントに居ない時、鳴らすベル。

これを何回鳴らしたかで、お客様のバカ度がわかるんです。

それでは説明します。

 

1~2回 バカ度0%

店員が居ないのでしょう。店員を呼ぶ効果があるベルを鳴らす貴方は、いたって普通の頭脳の持ち主です。

 

3~4回 バカ度30%

店員を呼ぶなら1回で良いはずです。連打しないで下さい。エレベーターの閉まるボタンも連打していませんか?連打しても特に意味はありません。せっかちな性格とバカを今すぐ改善しましょう。

 

5~10回 バカ度60%

もう既に店員は来ています。今すぐ鳴らすのをやめましょう。周りに迷惑です。店員が鳴らすのをやめて下さいと言わないのは、貴方の事をチンパンジーだと思っているからです。

早期のホモ・サピエンスへの進化をお勧めします。

 

10回~ バカ度80%

きっと貴方はそれが楽しくて仕方ないのでしょう。動物は、動くものと音が鳴るものが大好きです。周囲の視線が気にならないのは、貴方が群れて行動し、気が大きくなるタイプという事を表しています。貴方は、群れるバカです。

 

ベルを持っていく バカ度100%

窃盗です。返して下さい。貴方は本能的で野性味が溢れ出てますね。とにかく、そのベルを返して下さい。今すぐベルを返して下さい。

 

この様に、店員はお客様のバカ度をバカ発見器により測定していますが、それを決して表に出すことはありません。接客のプロだからです。

スタッフルームで出しています。

 

リアル脱出ゲームでこの下らない世の中からの脱出に成功した

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AM4:36

目が覚めた。

バイトの時間が不安定なため、変な時間に目が覚めるのはいつものことだ。

私はシーフードヌードルにお湯を注ぎ、プリズンブレイク第二シーズンを見始める。

私の生活は、バイトと睡眠以外の時間はプリズンブレイクを見ることで消化されている。

これ程までにプリズンブレイクに侵食されている生活を送ると

プリズンをブレイクすることが日常であり、プリズンをブレイクしない事などありえない。

こうなってくるともう一刻も早く自分もプリズンをブレイクしたくなってくる。

そこで今日、バイト先の店長と一緒にリアル脱出ゲームに行くという至極真っ当な流れになった。

この二人は、バイトと店長という垣根を越えた関係にある。

時に二人っきりで遊び、色々あって同じアパートに住むという少し気持ちの悪い関係だ。

 

AM8:39

5時前から見始めたプリズンブレイクは第三シーズンに突入していた。

スマホを確認すると店長からLINEがきていることに気づく。 

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待ち合わせの時間を当日の39分前に決めるという計画性の無さは、プリズンブレイクの主人公マイケルにも見習ってほしい。

私はパソコンを閉じ、出発の準備に取り掛かった。

 

AM9:00

待ち合わせの時間だ。

店長の家の玄関前で待っているが、出てくる気配がない。

まぁもう少し待ってみよう。

 

AM9:05

出てこない。

リアル脱出ゲームは10時から始まる。

移動距離を考えると、そろそろ出発しないと危ない時間だ。

耐えきれずインターホンを押す。

 

出ない。

 

もう一度。

 

出ない。

 

ドアノブをひねると、ドアはあっさり開いた。

この誰でも出入り自由という警戒心の無さは、プリズンブレイクのフォックスリバー刑務所にも見習って欲しい。

 

見慣れた店長の部屋へと足を伸ばすと、彼は完全に寝ていた。

8時21分にLINEを打ってからの最速の二度寝をかましていたのだ。

残りの39分を出かける準備にではなく睡眠に使うとは

この男、リアル脱出ゲームに本気である。

 

AM9:16

ようやく車に乗り込み出発することになる。

私はスマホのナビアプリを起動させ目的地までの時間を確認した。

 

目的地まで残り41分

 

ギリギリだ。

私が、なぜあの時間で二度寝ができるのかという焦燥を店長にぶつけていた所、彼から衝撃発言が飛び出る。

 

「前売り券が売り切れてたから当日キャンセル狙いでいこう」

 

聞くと、店長が三週間前に買っておくと豪語していた前売り券を、当日二日前に買いに行ったところ、完全に売り切れていたらしい。

このブレない計画性の無さこそ彼の魅力であることは、もはや言うまでも無いだろう。

 

AM10:00

開始時間ギリギリにリアル脱出ゲームの会場についた。

そしてなんと当日券があったのだ。

この人は、計画性が無いのにも関わらず何故か成功させる実行力がある。

計画性の無さは、この実行力のせいで必然的に育たなかったのだと思うと哀切感に襲われた。

そして、私の他人任せな性格も彼によって構築されたのではと思うと、もはや涙無くしては語れない。

 

すでに会場には沢山の人々が5人~6人一組となり着席していた。

リアル脱出ゲームは基本6人チームで行う事を前提としている。

奇数で来た場合一人少ない5人チームとなる。

 

スタッフに案内され、誰もいないテーブルに通される。

6人1チームとなるので、あと4人足りない。

しかし我々が来たのは開始時間の10時ちょうどだ。

つまり今から来る奴は遅刻であり、計画性が無い奴である。

我々のチームはこの時点で計画性の無い奴の集まりとなる事が決定したのだ。

 

AM10:05

若いカップルが来た。

計画性の無い若いカップルが来た。

既に壇上ではシャーロック・ホームズの衣装を着た司会者が、ゲームの説明をしていた。

このカップルはその説明の前半部分を聞いていないことになる。

この時点でゲームに不利になることは言うまでも無い。

全く計画性のないカップルである。

それに我々も説明は聞いてない。二人でドゥフドゥフ喋り込んでいたからである。

そしてカップルが来るとドゥフドゥフ喋るのをやめて、私は説明聞いてたアピールをはじめた。

店長は尚も説明を聞くそぶりは見せずカップルをガン見していた。

 

司会者の説明が続く中、会場スタッフがこのテーブルに向かって来る。

嫌な予感がする。

それは、このテーブルにいる4人全員が感じていたに違いない。

そしてスタッフは申し訳なさそうに告げる。

 

「このチームは4名になりますが宜しいでしょうか?」

 

死刑宣告。私達はただそれを受け入れるしか無かった。

 計画性がない。

人数も少ない。

そして司会者の説明を、ほぼ聞いてないというバトル漫画にありがちな落ちこぼれ4人チーム。

我々がこの会場で主人公ポジションをゲットした瞬間であった。

 

AM10:10

「同じチームメンバーに挨拶をしましょう」

司会者がそう告げると一斉に

「「「よろしくお願いします」」」

と所々挨拶を交わしている。

我々も例に漏れず挨拶を交わす。

 

「お二人は付き合ってるんですか?」

 

店長が挨拶代わりとばかりに先制攻撃をかます。

 

「はい!そうなんです!」

 

カップルの女性が笑顔を向ける。

なかなかにコミュニケーション能力の高さを伺わせる返しだ。

これは楽しいひと時を過ごせるかもしれない。

そう思った矢先である。

 

「そうなんですか、僕たちもです」

 

この店長、ぶっ込みやがった。

 

向こうはカップル、こちらはむっさい男同士。

最初から嫉妬していたのだ。その気持ちは痛いほどわかる。

しかしそこに勝機はあるのか。

というか正気なのか。

私は店長の顔を見やるとウインクで返して来た。

 

勝つ気である。

 

AM10:15

コナン君たちのオープニングムービーが始まる。

コナンくんは巧みに16進法を使い謎を解いていく。

16進法を、早く進む為の歩行法だと思っている私にとっては何をしているのかさっぱりだった。

ストーリーは進み、我々はこの会場に隔離される。ここから脱出できなければ待っているのは死だ。さぁ謎に取り掛かろう。

 

テーブルの上にある封筒の中には、例に漏れず謎が用意されており、チームで協力しなければ脱出は不可能。

それも本来6人用なので4人の時点でかなりキツイ。

さらに先ほどのゲイカップル発言によりかなり気まずい空気となっている。

これは詰んだのではないか。

この状況を察したのか、店長が若いカップルに声をかける。

 

「アンタたちはこっち、アタシたちはこっちの謎を解くから早くしなさい!」

 

急なキャラ付けである。

さっきまでそんな喋り方じゃなかっただろとは言わせない迫力がそこにはあった。

店長の暴走のせいでチームは混乱の渦ではあったが、何とか最初の謎が解けた。

すぐさま第2の謎に取り掛かるが、周りを見渡すと明らかに我がチームは遅れていた。

 

「ん~、そうねぇ~壁のヒントが気になるわぁ」

 

原因はこいつである。

このオネェキャラが気に入ったらしく少し板に付いてきてる。

とても癇に障る。

 

「あっ、アソコにあるわ!!ちょっとアンタ、アタシと来なさい!」

 

店長、もといオネェが壇上近くにあるヒントを見にカップルの青年を連れて行ってしまった。

残されたのは、完全に引いている少女。

そして、オネェに犯されたノンケという設定を貫き無言を通す私だ。

流れる沈黙。

空気に耐えきれず、私は口走った。口走ってしまった。

 

「私は、ノーマルですよ」

 

「...あ、はい」

 

あんなに輝いていた彼女の笑顔は、今は見る影もない。

完全に引かれている。

オネェと青年が戻ってきてからもこの縮図は変わらず、どんどん板に付くオネェと完全に引いている少女。

そして、我関せずを貫く青年。

立ち位置が皆無の私。

混沌。それがこの場を現わす唯一の言葉だ。

 

AM11:02

無法地帯が続く中、一応真剣に謎を解く三人。

それに対して私は、自分を見つめ直していた。

思えば、小学生の頃からそうだった。人の顔色を伺い、自分の立ち位置ばかり気にして安心を得ようと必死だった。冒険はせず、火傷を負うようなフリにはいつも逃げ切って、つまらない奴というレッテルを貼られる事を極端に恐れた。

だから人気者になれないのだ。

人気者にはスベっている奴と一緒にスベれる度胸と愛情がないとダメなんだ。

私は殻を破る。

齢28にして、あまりに遅い孵化が始まった。

 

「もう、全然わからないわ!ワタシ全然わからない!」

 

私の急なキャラ変。

さっきまでそんな喋り方じゃなかっただろうとは言わせない。

カップルはこちらを凝視しているが、そんなもの私には通じない。自分というプリズンをブレイクした私にとって痛々しい空気など微塵も感じない。

私には仲間がいる。

店長を見るとキラキラした目で語りかけてくる。

 

こ ち ら の 世 界 へ よ う こ そ

 

それからというもの、ますます調子にのるオネェ二体に、もはやゲームの謎より、目の前の物体たちが謎といった面持ちのカップル。

場は荒れに荒れ、私たちは完全に周りから取り残されていた。

 

AM11:20

終了の合図であるコナンくんのムービーが始まった。

カップルには明らかに疲労の色が見え、その原因と思われる我々二体は、やりきった達成感と満足感でいっぱいだった。

もちろん脱出には、失敗した。

脱出に成功したのは、20組中1組。

司会者は、失敗した皆さんは死にましたーと笑いを誘う。

コナンくんたちは、死んだ我々など頭に無いかのように話を進める。

敗者は悔しがり、唯一の勝者である1チームに賛辞を送った。

こうしてリアル脱出ゲームは幕を閉じた。

我々はこのゲームの脱出に失敗した。

しかし、この下らない世界からの脱出に成功し、新たな世界の扉を開けた。

もうなにも恐れることはない。

 

オネェに敵はいないのだから。

 

 

コーヒーにストローが付いてないせいで人生変わった。

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バイトに向かう時、彼女がいつも持たせてくれるコーヒー。

このコーヒーが元気スイッチだ。

その元気スイッチにあるものが付いていない。

もしかしたら題名で気づいている人もいるかもしれないが

 

ストローだ。

 

ストローがない。

 

もちろん探した。

360度あらゆる所を繊細に満遍なく

時に空を仰ぎ、時に自問自答しながらなにかしらのヒントがないか入念に調べ上げた。

 

そして、

 

ストローはなかった。

 

しかし、

しかしだ。

なめてもらっては困る。

私はいくつかのヒントを発見する事に成功した。

 

まずこれだ。

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ストローを刺す場所だ。

ストローはなくてもストローを刺す場所はある。

これが意味するのは、このコーヒーにはストローが必須であるということだ。

ストローなしでこの狭いゴールを突破するのは至難の技である。

私はあまりの手強さに恐怖で足が震えるのを必死で押さえていた。

 

次のヒントは、この緑色の長方形だ。

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ちょうどパッケージから見て側面にある。

この側面というのがポイントだ。

おそらく、ここが本来ならストローがあるポイントなのではないだろうか。

そしてストローがない場合に限り、この緑色の長方形が姿を現わす。

そういう設計になっていると見た。

まぁ最終的には

 

「うん、これに特に意味はないだろう」

 

そう決断した。

ここまで見てくれた者なら気付くだろう

このあまりに早く正確な判断力に

もはやストローが見つかるのも時間の問題である。

 

そして第3のヒントがこちら

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〇開封前によく振って、お飲みください。と、書いてある。

危ない所である。

もしこれを見逃して開封してしまったら、もう二度と振ることは出来ない。

後戻りは出来ないのだ。

もしストローがすぐに見つかっていたら、きっと私はこのヒントを見逃していたことだろう。

まさかそこまで読まれているとは

敵の方が一枚上手であることに若干の悔しさを覚える

が、それ以上に私をも翻弄しうる敵の出現に口角の緩みを抑えることはできない。

私はバイト先の休憩室で静かに笑った。

 

次のヒント、いや、もはや暗号と言っていいだろう。

私は今、コーヒーという迷宮にストローという地図なく挑んでいる。

そして迷宮にはゴールまでの暗号が散りばめられているのだ。

暗号さえ解ければ地図などいらない。

さぁ解読に取り掛かろう。次の暗号は先ほど既にでているものだ。

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F。

 

Fだ。

 

F........................その時、私の脳に電流が走る。

そうか、これはFAKE

FAKEのFだ。

 

ストローを刺す場所は普通は真ん中と思うだろう。

ところがどっこい端の方ですよーってね

真ん中はFAKEですよーってね

だから真ん中にFを...って、そんな訳がないだろう。

私をなめるのもいい加減にしてほしい。

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プラスチックの蓋で巧妙に隠されてはいたが私の眼は欺けない。

ここがゴールへの扉だろう

つまりストローくちがFAKEでありそもそもストローなんてものはない

ここをOPENすることがGOALできる唯一の道だったのだ。

 

私はおもむろにOPENの文字が書かれた出っ張りに手を伸ばす。

歓喜が暴走し、笑いをこらえる事などもう出来なかった。

 

これでチェックメイトだ。

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なんだ...?

 

何が起こった?

 

思わず私以外に誰もいないバイト先の休憩室を見渡す

本能が誰かに助けを求めていた。

 

さらなるFAKEだと?

 

いやFILMのFだったのか?

 

何が目的でこんな酷いことを?

 

もはや混乱の渦に飲み込まれ、先ほどまでの冷静さは完全に失われていた。

そして、禁忌を犯してしまった。

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...そうだ、力ずくでこじ開けたのだ。そこには知能を持つはずのホモサピエンスたるプライドなど微塵もない。ただの獣に自ら成り下がったのだ。

 

泣いていた。

 

まるで赤子のように。

 

もしかすると店の方まで私の泣き声が聞こえているかもしれない。でも、そんなことはどうだっていい。もはや私は獣なのだから。

 

もはや、獣である自分にコーヒーを飲む資格などない。ましてやバイトなんか出来るはずもない。

森に帰ろう。

 

そう思った瞬間、何かが鼻腔を抜けた

 

コーヒーの香りだ

 

それは鼻腔を伝って脳に直接幸せを訴えかける。

思わず、口に含んでいた。

その瞬間、自分はコーヒーの手のひらの上で転がされてることを悟る。

そうか、あのF、あのFは

FLAVOURだ。

ずっと無神論者だったが、それは間違っていた。

神はいた。

 

ずっと世の中を見下していた。自分の安いプライドを守るために他人を傷つけ、その度に言い訳ばかり上手くなって。自分が上に立ってる気になっていたのだ。

私はこんなにちっぽけだ。

こんなにちっぽけな人間なのだから目の前の壁だってさほど大きくない。

逃げたって永遠に何も変わらない。

あのFはFOREVERのFだ。

いや、本当はなんだっていい。神の御心のままにFを感じればいいのだ。

 こんな小さな壁から私は逃げていたのか。笑ってしまうな。

さて、いつまでも悩むのは辞めだ。

バイトの制服に着替え、スマホを付け時間を確認する。

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8分、遅刻か。