猟奇的ゆとり虚言癖

よくお前ほど普通の人はいないと言われます。

2月26日AM12:00頃

昼ご飯に、彼女がハンバーグを作ってくれるようだ。

しかし、卵がないと喚きだした。

喚くだけならまだしも、横目でチラチラとこちらを見てくるではないか。

それが数分間続き耐えられなくなった私は、ついに重い腰をあげる。

 

「卵、買ってきてほしいの?」

 

「うん、あと私の生理用パンツもお願い」

 

(生理用パンツ?!)

 

「お願いね」

 

「...はい」

 

やむ得ず、近くのスーパーに赴くことになった。

スーパーは洋服屋さんと隣接しており、例のブツ(生理用パンツ)も手に入れられる。

先に嫌なものから処理しようと洋服屋に入るが、生理用パンツが何処にあるのかわからない。

女性用の下着コーナーをしばらくウロウロして、店員には奇怪な目で見られ、女性客には、まるで人界に魑魅魍魎が徘徊しているかの視線を受けながらようやく、生理用パンツの陳列棚を見つけることができた。

やっと見つけた...いや、ここからが本番だ。

この中から、彼女のお眼鏡に叶うブツを選ばなくてはならない。

できるだけ可愛らしいものはどれなのか。

そもそも生理用パンツというものに可愛さを求めるべきなのか。

わからない、全くわからない。

可愛さを求めないのであれば、大人の魅力的なアダルティなセクシュアリティを追求すべきか。

というかこんなにいっぱい種類が置いてあるが、私には違いがさっぱりだ。

色が違う。

それしかわからない。全然わからない。

私は熟考に熟考を重ね、ある結論に達する。

あまりに可愛すぎるのもダメ、かといって大人の魅力的なアダルティなセクシュアリティになりすぎるのもダメだ。

ならば無難にグレーの綿素材、これだ。

私は、一筋の光が照らしているかに思えるグレーの綿素材であしらわれた生理用パンツを手にする。

それを強く握りしめ、レジへと向かった。

行く先が希望だと信じて。

 

レジは混んでいた。

並んでいる間、例のブツを握りしめひたすら恥辱に耐えるしかない。

そう、これは試練だ。

試練の先に幸福なる未来が待っている、そう信じるしかなかった。

周りの視線が、性的な興味が化け物並みの魑魅魍魎だと言っている。

違う。

私は性的な興味が化け物並みの、人間である。

断じて魑魅でも魍魎でもない。

ひたすら自分は人間だと自分に言い聞かせながら、ようやくレジを済ませた私は刹那の如く帰宅した。

 

「買ってきたよ生理用パンツ」

 

「卵は?」