猟奇的ゆとり虚言癖

よくお前ほど普通の人はいないと言われます。

リアル脱出ゲームでこの下らない世の中からの脱出に成功した

f:id:hideyukinakanoshima:20170920100316j:plain

AM4:36

目が覚めた。

バイトの時間が不安定なため、変な時間に目が覚めるのはいつものことだ。

私はシーフードヌードルにお湯を注ぎ、プリズンブレイク第二シーズンを見始める。

私の生活は、バイトと睡眠以外の時間はプリズンブレイクを見ることで消化されている。

これ程までにプリズンブレイクに侵食されている生活を送ると

プリズンをブレイクすることが日常であり、プリズンをブレイクしない事などありえない。

こうなってくるともう一刻も早く自分もプリズンをブレイクしたくなってくる。

そこで今日、バイト先の店長と一緒にリアル脱出ゲームに行くという至極真っ当な流れになった。

この二人は、バイトと店長という垣根を越えた関係にある。

時に二人っきりで遊び、色々あって同じアパートに住むという少し気持ちの悪い関係だ。

 

AM8:39

5時前から見始めたプリズンブレイクは第三シーズンに突入していた。

スマホを確認すると店長からLINEがきていることに気づく。 

f:id:hideyukinakanoshima:20170920100427p:plain

待ち合わせの時間を当日の39分前に決めるという計画性の無さは、プリズンブレイクの主人公マイケルにも見習ってほしい。

私はパソコンを閉じ、出発の準備に取り掛かった。

 

AM9:00

待ち合わせの時間だ。

店長の家の玄関前で待っているが、出てくる気配がない。

まぁもう少し待ってみよう。

 

AM9:05

出てこない。

リアル脱出ゲームは10時から始まる。

移動距離を考えると、そろそろ出発しないと危ない時間だ。

耐えきれずインターホンを押す。

 

出ない。

 

もう一度。

 

出ない。

 

ドアノブをひねると、ドアはあっさり開いた。

この誰でも出入り自由という警戒心の無さは、プリズンブレイクのフォックスリバー刑務所にも見習って欲しい。

 

見慣れた店長の部屋へと足を伸ばすと、彼は完全に寝ていた。

8時21分にLINEを打ってからの最速の二度寝をかましていたのだ。

残りの39分を出かける準備にではなく睡眠に使うとは

この男、リアル脱出ゲームに本気である。

 

AM9:16

ようやく車に乗り込み出発することになる。

私はスマホのナビアプリを起動させ目的地までの時間を確認した。

 

目的地まで残り41分

 

ギリギリだ。

私が、なぜあの時間で二度寝ができるのかという焦燥を店長にぶつけていた所、彼から衝撃発言が飛び出る。

 

「前売り券が売り切れてたから当日キャンセル狙いでいこう」

 

聞くと、店長が三週間前に買っておくと豪語していた前売り券を、当日二日前に買いに行ったところ、完全に売り切れていたらしい。

このブレない計画性の無さこそ彼の魅力であることは、もはや言うまでも無いだろう。

 

AM10:00

開始時間ギリギリにリアル脱出ゲームの会場についた。

そしてなんと当日券があったのだ。

この人は、計画性が無いのにも関わらず何故か成功させる実行力がある。

計画性の無さは、この実行力のせいで必然的に育たなかったのだと思うと哀切感に襲われた。

そして、私の他人任せな性格も彼によって構築されたのではと思うと、もはや涙無くしては語れない。

 

すでに会場には沢山の人々が5人~6人一組となり着席していた。

リアル脱出ゲームは基本6人チームで行う事を前提としている。

奇数で来た場合一人少ない5人チームとなる。

 

スタッフに案内され、誰もいないテーブルに通される。

6人1チームとなるので、あと4人足りない。

しかし我々が来たのは開始時間の10時ちょうどだ。

つまり今から来る奴は遅刻であり、計画性が無い奴である。

我々のチームはこの時点で計画性の無い奴の集まりとなる事が決定したのだ。

 

AM10:05

若いカップルが来た。

計画性の無い若いカップルが来た。

既に壇上ではシャーロック・ホームズの衣装を着た司会者が、ゲームの説明をしていた。

このカップルはその説明の前半部分を聞いていないことになる。

この時点でゲームに不利になることは言うまでも無い。

全く計画性のないカップルである。

それに我々も説明は聞いてない。二人でドゥフドゥフ喋り込んでいたからである。

そしてカップルが来るとドゥフドゥフ喋るのをやめて、私は説明聞いてたアピールをはじめた。

店長は尚も説明を聞くそぶりは見せずカップルをガン見していた。

 

司会者の説明が続く中、会場スタッフがこのテーブルに向かって来る。

嫌な予感がする。

それは、このテーブルにいる4人全員が感じていたに違いない。

そしてスタッフは申し訳なさそうに告げる。

 

「このチームは4名になりますが宜しいでしょうか?」

 

死刑宣告。私達はただそれを受け入れるしか無かった。

 計画性がない。

人数も少ない。

そして司会者の説明を、ほぼ聞いてないというバトル漫画にありがちな落ちこぼれ4人チーム。

我々がこの会場で主人公ポジションをゲットした瞬間であった。

 

AM10:10

「同じチームメンバーに挨拶をしましょう」

司会者がそう告げると一斉に

「「「よろしくお願いします」」」

と所々挨拶を交わしている。

我々も例に漏れず挨拶を交わす。

 

「お二人は付き合ってるんですか?」

 

店長が挨拶代わりとばかりに先制攻撃をかます。

 

「はい!そうなんです!」

 

カップルの女性が笑顔を向ける。

なかなかにコミュニケーション能力の高さを伺わせる返しだ。

これは楽しいひと時を過ごせるかもしれない。

そう思った矢先である。

 

「そうなんですか、僕たちもです」

 

この店長、ぶっ込みやがった。

 

向こうはカップル、こちらはむっさい男同士。

最初から嫉妬していたのだ。その気持ちは痛いほどわかる。

しかしそこに勝機はあるのか。

というか正気なのか。

私は店長の顔を見やるとウインクで返して来た。

 

勝つ気である。

 

AM10:15

コナン君たちのオープニングムービーが始まる。

コナンくんは巧みに16進法を使い謎を解いていく。

16進法を、早く進む為の歩行法だと思っている私にとっては何をしているのかさっぱりだった。

ストーリーは進み、我々はこの会場に隔離される。ここから脱出できなければ待っているのは死だ。さぁ謎に取り掛かろう。

 

テーブルの上にある封筒の中には、例に漏れず謎が用意されており、チームで協力しなければ脱出は不可能。

それも本来6人用なので4人の時点でかなりキツイ。

さらに先ほどのゲイカップル発言によりかなり気まずい空気となっている。

これは詰んだのではないか。

この状況を察したのか、店長が若いカップルに声をかける。

 

「アンタたちはこっち、アタシたちはこっちの謎を解くから早くしなさい!」

 

急なキャラ付けである。

さっきまでそんな喋り方じゃなかっただろとは言わせない迫力がそこにはあった。

店長の暴走のせいでチームは混乱の渦ではあったが、何とか最初の謎が解けた。

すぐさま第2の謎に取り掛かるが、周りを見渡すと明らかに我がチームは遅れていた。

 

「ん~、そうねぇ~壁のヒントが気になるわぁ」

 

原因はこいつである。

このオネェキャラが気に入ったらしく少し板に付いてきてる。

とても癇に障る。

 

「あっ、アソコにあるわ!!ちょっとアンタ、アタシと来なさい!」

 

店長、もといオネェが壇上近くにあるヒントを見にカップルの青年を連れて行ってしまった。

残されたのは、完全に引いている少女。

そして、オネェに犯されたノンケという設定を貫き無言を通す私だ。

流れる沈黙。

空気に耐えきれず、私は口走った。口走ってしまった。

 

「私は、ノーマルですよ」

 

「...あ、はい」

 

あんなに輝いていた彼女の笑顔は、今は見る影もない。

完全に引かれている。

オネェと青年が戻ってきてからもこの縮図は変わらず、どんどん板に付くオネェと完全に引いている少女。

そして、我関せずを貫く青年。

立ち位置が皆無の私。

混沌。それがこの場を現わす唯一の言葉だ。

 

AM11:02

無法地帯が続く中、一応真剣に謎を解く三人。

それに対して私は、自分を見つめ直していた。

思えば、小学生の頃からそうだった。人の顔色を伺い、自分の立ち位置ばかり気にして安心を得ようと必死だった。冒険はせず、火傷を負うようなフリにはいつも逃げ切って、つまらない奴というレッテルを貼られる事を極端に恐れた。

だから人気者になれないのだ。

人気者にはスベっている奴と一緒にスベれる度胸と愛情がないとダメなんだ。

私は殻を破る。

齢28にして、あまりに遅い孵化が始まった。

 

「もう、全然わからないわ!ワタシ全然わからない!」

 

私の急なキャラ変。

さっきまでそんな喋り方じゃなかっただろうとは言わせない。

カップルはこちらを凝視しているが、そんなもの私には通じない。自分というプリズンをブレイクした私にとって痛々しい空気など微塵も感じない。

私には仲間がいる。

店長を見るとキラキラした目で語りかけてくる。

 

こ ち ら の 世 界 へ よ う こ そ

 

それからというもの、ますます調子にのるオネェ二体に、もはやゲームの謎より、目の前の物体たちが謎といった面持ちのカップル。

場は荒れに荒れ、私たちは完全に周りから取り残されていた。

 

AM11:20

終了の合図であるコナンくんのムービーが始まった。

カップルには明らかに疲労の色が見え、その原因と思われる我々二体は、やりきった達成感と満足感でいっぱいだった。

もちろん脱出には、失敗した。

脱出に成功したのは、20組中1組。

司会者は、失敗した皆さんは死にましたーと笑いを誘う。

コナンくんたちは、死んだ我々など頭に無いかのように話を進める。

敗者は悔しがり、唯一の勝者である1チームに賛辞を送った。

こうしてリアル脱出ゲームは幕を閉じた。

我々はこのゲームの脱出に失敗した。

しかし、この下らない世界からの脱出に成功し、新たな世界の扉を開けた。

もうなにも恐れることはない。

 

オネェに敵はいないのだから。

 

 

コーヒーにストローが付いてないせいで人生変わった。

f:id:hideyukinakanoshima:20170915234500j:plain

バイトに向かう時、彼女がいつも持たせてくれるコーヒー。

このコーヒーが元気スイッチだ。

その元気スイッチにあるものが付いていない。

もしかしたら題名で気づいている人もいるかもしれないが

 

ストローだ。

 

ストローがない。

 

もちろん探した。

360度あらゆる所を繊細に満遍なく

時に空を仰ぎ、時に自問自答しながらなにかしらのヒントがないか入念に調べ上げた。

 

そして、

 

ストローはなかった。

 

しかし、

しかしだ。

なめてもらっては困る。

私はいくつかのヒントを発見する事に成功した。

 

まずこれだ。

f:id:hideyukinakanoshima:20170915234549j:plain

ストローを刺す場所だ。

ストローはなくてもストローを刺す場所はある。

これが意味するのは、このコーヒーにはストローが必須であるということだ。

ストローなしでこの狭いゴールを突破するのは至難の技である。

私はあまりの手強さに恐怖で足が震えるのを必死で押さえていた。

 

次のヒントは、この緑色の長方形だ。

f:id:hideyukinakanoshima:20170915234726j:plain

ちょうどパッケージから見て側面にある。

この側面というのがポイントだ。

おそらく、ここが本来ならストローがあるポイントなのではないだろうか。

そしてストローがない場合に限り、この緑色の長方形が姿を現わす。

そういう設計になっていると見た。

まぁ最終的には

 

「うん、これに特に意味はないだろう」

 

そう決断した。

ここまで見てくれた者なら気付くだろう

このあまりに早く正確な判断力に

もはやストローが見つかるのも時間の問題である。

 

そして第3のヒントがこちら

f:id:hideyukinakanoshima:20170916002200j:plain

〇開封前によく振って、お飲みください。と、書いてある。

危ない所である。

もしこれを見逃して開封してしまったら、もう二度と振ることは出来ない。

後戻りは出来ないのだ。

もしストローがすぐに見つかっていたら、きっと私はこのヒントを見逃していたことだろう。

まさかそこまで読まれているとは

敵の方が一枚上手であることに若干の悔しさを覚える

が、それ以上に私をも翻弄しうる敵の出現に口角の緩みを抑えることはできない。

私はバイト先の休憩室で静かに笑った。

 

次のヒント、いや、もはや暗号と言っていいだろう。

私は今、コーヒーという迷宮にストローという地図なく挑んでいる。

そして迷宮にはゴールまでの暗号が散りばめられているのだ。

暗号さえ解ければ地図などいらない。

さぁ解読に取り掛かろう。次の暗号は先ほど既にでているものだ。

f:id:hideyukinakanoshima:20170915235252j:plain

F。

 

Fだ。

 

F........................その時、私の脳に電流が走る。

そうか、これはFAKE

FAKEのFだ。

 

ストローを刺す場所は普通は真ん中と思うだろう。

ところがどっこい端の方ですよーってね

真ん中はFAKEですよーってね

だから真ん中にFを...って、そんな訳がないだろう。

私をなめるのもいい加減にしてほしい。

f:id:hideyukinakanoshima:20170915235333j:plain

プラスチックの蓋で巧妙に隠されてはいたが私の眼は欺けない。

ここがゴールへの扉だろう

つまりストローくちがFAKEでありそもそもストローなんてものはない

ここをOPENすることがGOALできる唯一の道だったのだ。

 

私はおもむろにOPENの文字が書かれた出っ張りに手を伸ばす。

歓喜が暴走し、笑いをこらえる事などもう出来なかった。

 

これでチェックメイトだ。

f:id:hideyukinakanoshima:20170915235405j:plain

f:id:hideyukinakanoshima:20170915235430j:plain

f:id:hideyukinakanoshima:20170915235454j:plain

なんだ...?

 

何が起こった?

 

思わず私以外に誰もいないバイト先の休憩室を見渡す

本能が誰かに助けを求めていた。

 

さらなるFAKEだと?

 

いやFILMのFだったのか?

 

何が目的でこんな酷いことを?

 

もはや混乱の渦に飲み込まれ、先ほどまでの冷静さは完全に失われていた。

そして、禁忌を犯してしまった。

f:id:hideyukinakanoshima:20170915235609j:plain

...そうだ、力ずくでこじ開けたのだ。そこには知能を持つはずのホモサピエンスたるプライドなど微塵もない。ただの獣に自ら成り下がったのだ。

 

泣いていた。

 

まるで赤子のように。

 

もしかすると店の方まで私の泣き声が聞こえているかもしれない。でも、そんなことはどうだっていい。もはや私は獣なのだから。

 

もはや、獣である自分にコーヒーを飲む資格などない。ましてやバイトなんか出来るはずもない。

森に帰ろう。

 

そう思った瞬間、何かが鼻腔を抜けた

 

コーヒーの香りだ

 

それは鼻腔を伝って脳に直接幸せを訴えかける。

思わず、口に含んでいた。

その瞬間、自分はコーヒーの手のひらの上で転がされてることを悟る。

そうか、あのF、あのFは

FLAVOURだ。

ずっと無神論者だったが、それは間違っていた。

神はいた。

 

ずっと世の中を見下していた。自分の安いプライドを守るために他人を傷つけ、その度に言い訳ばかり上手くなって。自分が上に立ってる気になっていたのだ。

私はこんなにちっぽけだ。

こんなにちっぽけな人間なのだから目の前の壁だってさほど大きくない。

逃げたって永遠に何も変わらない。

あのFはFOREVERのFだ。

いや、本当はなんだっていい。神の御心のままにFを感じればいいのだ。

 こんな小さな壁から私は逃げていたのか。笑ってしまうな。

さて、いつまでも悩むのは辞めだ。

バイトの制服に着替え、スマホを付け時間を確認する。

f:id:hideyukinakanoshima:20170915235806j:plain

8分、遅刻か。

 

人狼ゲームとは愛し合うゲームである。

人狼ゲームをやった事がない人には、やる前に知っておいて欲しい。

人狼ゲームをやった事がある人には、改めて知ってほしい。

人狼ゲームは人を疑うゲームではなく、愛し合うゲームだと言うことを。

 

f:id:hideyukinakanoshima:20170913103118j:plain

 プロローグ

貴方はこの村で木こりをしている青年だ。

村は森に囲まれていて、その森には二匹の人狼が住むという

そして今日、全身の皮が剥ぎ取られ、ぐちゃぐちゃになっている遺体が二つ発見された。

二匹の人狼が今日、村に紛れ込んだらしい。

 

 

一日目【残り十二人】

自分が村人なら、きっと不安に駆られるだろう。

もしかしたら自分が人狼と疑われてるかもしれない。

もし人狼と間違われて処刑されたら...

生き延びたとしても夜、人狼に食べられてしまうかも...

 

そんな時、人は疑心暗鬼になって

自分さえ助かればいい!

人がどうなろうが関係ない!

処刑されたくないんだ!

と心に狂気が宿ってしまう。

 

そんな人達が集まり人狼を処刑出来るだろうか

 

否。

 

他人を罵り、根拠もなく人を責めて、人々の罵声の中、一人の処刑者が決まる。

しかし結局処刑した奴は人狼だったのかもわからない。

処刑される前、彼は言った

 

「みんな、変わっちまったな...」

 

果たして自分は正しかったのだろうか

あの場面でどうする事ができたっていうんだ

自分を責め、人を責め、自問自答を繰り返す。

 

そして夜に仲間が一人喰われる。

 

きっとそうして一日目を終えるだろう。

 

 

二日目【残り十人】

二日目の早朝、占い師を名乗る如何にも疑わしい人物が現れる。

疑わしいのもそのはず

今まで一緒に村で暮らしてたなんの変哲も無い村人が、急に占い師だと言いだしたら信じるだろうか

 

否。

 

しかし、貴方はこの人物をとりあえずは信じるしかない。

何故なら人狼はわざわざ占い師という疑われるような事を言う必要はないからだ。

占い師なんて矢面に立つことをしなくても村人のふりをしてれば良い。

つまりこの人物は本物の占い師

あるいは頭がおかしくなった村人である。

 

しかし、この説はあくまで人狼が占い師という存在を知らなかった場合に限る。

もし占い師の存在を知っていたなら、きっと賢しい人狼は先に自分が占い師だと名乗り出ることだろう。

 

この占い師はある人物が人狼ではなく村人であると証言する。

この事である人物は、占い師に絶対の信頼を置くことになる。

それもそうだろう

自分が処刑されるかもしれない所をこの占い師のおかげで免れたのだ。

しかし議論はそれ以降進まず、結局疑わしいというだけで仲間かもしれない者を処刑してしまう。

「疑わしきは罰せず」という言葉が脳裏によぎるのを必死に押さえ込みながら貴方は床につく。

 

 

三日目【残り八人】

翌朝、衝撃が走る。

占い師から村人だと言われた人物が、見るも無惨に喰い荒らされていたのだ。

この事により、占い師はこの村で絶対の地位を築く。

しかしここで

 

「みんな騙されるな、本物の占い師は私だ」

 

と言う者が現れる。

しかし誰も信じてはくれない。

何せ、先の占い師は村人だと言った者が人狼に喰い殺されているのだ。

ある村人は冷ややかな視線を向け

ある村人は激昂する。

村人は新たな占い師に罵声を浴びせ、今日の処刑者をこいつにしようと言い始める。

 

「ちょっと待って下さい!」

 

村人の罵声の中、少女が声を張り上げる。

 

名をルイーズ

後の占い師の婚約者だ。

 

「彼は人狼なんかじゃない!みんな知っているでしょう?」

 

彼女は泣きながら訴える。

 

人狼っていうのは見た目は人間そっくりなんだ、きっと化けてるんだ」

 

そうだそうだと村人たちが口々に言い合う。

 

「違うわ!私はわかる、彼は彼だということを!」

 

後の占い師が消え入るような声でつぶやく

目には、いっぱいの涙を溜めて。

 

「すまない、ルイーズ」

 

それが彼の最後の言葉だった。

 

その夜、ルイーズは人目につかない裏路地で人狼を誘き寄せるため手にナイフを当てた。

真っ赤な血が腕を伝う。

 

「彼のいないこの世に未練はないわ...」

 

 

四日目【残り六人】

占い師は声高に言う。

 

人狼を見つけた!」

 

そして貴方は人差し指を向けられる。

貴方は目の前の占い師を見て愕然とするしかないだろう。

 

村に伝わる情報により森には二匹の人狼が潜んでいる事が分かっている。

ここにいる村人は全員こう思うだろう。

昨日一人、人狼を処刑した。

そして後一人は占い師が教えてくれた。

つまり貴方を処刑すれば、この村に平和が訪れる。

 

終わった...この村は、人狼に喰い尽くされる。

そんな時、一人の青年が声を上げる。

 

「それは違う」

 

レイモンド...

 

幼い頃からずっと一緒だったレイモンド...彼は村一番の切れ者であった。

しかし、この状況ではもうどうしようもない。

私はレイモンドに諦めの視線を送る。

その視線を受けて彼は真剣な表情から少し口角をあげた。

そして、言う。

 

「俺は霊媒師だ!」

 

村人全員が固まる。

霊媒師、それは死んだ者の正体を見破る能力者。

 

レイモンドは続ける。

 

「昨日処刑した占い師は人間だった、つまりお前は偽物...人狼だ」

 

村人が静まり返る中、占い師が小さく笑った。

 

「フフッ...そうか、霊媒師か!」

 

「そうだ」

 

「誰が信じる!こいつは人狼だ!嘘をついている!!」

 

占い師が声を荒げる。

周りの村人はどうしていいかわからない。

 

「そうか、俺が人狼か...じゃあ昨日処刑された占い師と、今日お前が人狼だといった彼はどっちが人狼なんだ?」

 

その言葉に皆がざわついた。

しかし、その喧騒は一瞬にして破られる。

 

「レイモンドは嘘を言っている、私が霊媒師よ」

 

「何だと?!」

 

レイモンドが驚愕する。

視線の先には

 

「...クリストファー」

 

彼女はつい最近、レイモンドに振られていた。

それからずっと貴方を恨んでいた。

レイモンドが愛する、貴方を。

クリストファーは続けざまに言う。

 

「私が霊媒師!レイモンドは人狼を愛する裏切り者よ!」

 

「クリストファー、そんなに俺が憎いか」

 

「えぇ憎いわ、とっても...でも良いの、人狼を処刑して貴方と二人っきりになれればそれでいい」

 

「クリストファー、もうやめてくれ」

 

 

村に静寂が流れる。

言葉を発する事も、誰を処刑するべきかの判断も全く何も出来ないでいた。

そんな中、ある人物が言葉を発する。

レイモンドだ。

 

「みんな、聞いてくれ...」

 

レイモンドの声に、皆が縋るように息を飲む。

 

「昨日の夜、ルイーズが死んだ...彼女は人間だった!人間の言葉を信じるべきじゃないのか!」

 

村人たちは狼狽しながらも呟き始めた。

 

「そうかもしれない、俺たちは彼女の言葉を信じなかった」

 

「そのせいで二人とも殺してしまった」

 

「そうだ、俺たちは愛する二人を...殺したんだ」

 

村人たちの視線が一点に集まる。

 

「おい...まさか...」

 

占い師は処刑された。

最後は狂ったように言葉にならない言葉を発しながら。

 

そして人狼ゲームは終わりを迎えることになる。

 

その夜、クリストファーの恨めしそうな視線に貴方は思わず涎が垂れてしまうことだろう。

翌日、貴方は残った村人を喰い尽くす。

 愛するレイモンドと一緒に。

 

自称ソムリエがおススメするワイン5選

ソムリエを自称して早二日。

スーパーフリーアルバイター中之島です。

 

今回は、私が世界各国から今年一番おススメできるワインを紹介したいと思います。

f:id:hideyukinakanoshima:20170912093209j:plain

 

ボドルシュエル1985

ジュラ紀から伝わる製法で受け継がれてきた伝統的なワイン。

 

このワインの特徴は何といっても澄んだ海のような青色。

 

ブドウから作られるワインは赤、または白といった種類があるが、このワインはブドウではなくカブトガニからできている。

 

知っている人も多いと思うが、カブトガニの血液は青色。

 

そこから長い年月をかけ、ボドルシュエルは透き通った青色に変わっていく。

 

その味は、甘みと渋みのバランスがとてもよく、さらに少しの臭みがアクセントとなっている。

 

特に85年モノは臭みがとても強く、発酵というより普通に腐っているのではと思う人も少なくない。

 

そこがまたアクセントとなっている。

 

 

ミルガ・オデゥール

幻の国ミルガで王族以外が唯一飲むことができたワイン。

 

別名『幸せの結末』と呼ばれる。

 

このワインは製法の関係で絶対に死に直結する毒が混入してしまう。

 

しかし稀に、無毒のものが偶然できることがあるため、毒見役が死ななかったものだけ王族に振る舞われた。

 

しかし、ミルガ・オドゥールを飲んで死んだ者は、とても幸せそうな表情をしていた。

 

そのため毒見役をやりたがる人々が殺到し、ミルガの経済が傾いた直接の原因であると言われている。

 

 

オート・オースト・バブルクリオネ2020

2020年に出来上がると言われている最新鋭のワイン。

 

その製法は一度ブドウをiCloudに保存するという画期的な手法により、ブドウ本来の甘みを一切損なわず、もしデータが紛失しても安心。

 

さらに、そこからiPhoneに送信することによって、オート・オースト・バブルクリオネ本来の風味を残したまま、リーズナブル化に成功している。

 

あとは、ホームボタンを残すか残さないかの意見で賛否はあるものの、今一番注目のワインと言える。

 

 

他にもいろいろと紹介したいが、今回は5選ということで、この3本のみの紹介となってしまった。

また機会があれば、自称ソムリエを名乗りに名乗って存在しないワインを紹介してみたいと思う。

それではごきげんよう

 

スマホの音ゲーにハマる

最近、買ったスマホアプリ。Deemo。240円。缶コーヒー2本弱のお値段だ。

 

f:id:hideyukinakanoshima:20170911083839p:plain

 

普段、音ゲーはまったくやらないけど暇つぶしに取ってみた。

これが意外に暇つぶしできて、カップ麺(180円のお値段)の出来上がりを待ってる3分に一曲できる。

 

僕がいい曲だなーと思ったのは、これ。


【Deemo】Wings of piano

 

最初から遊べる曲ってのもあって何回もやってるうちにいつの間にかちょっとずつ上手くなってきた。

といってもHardで75%くらいしかいかないけど。

 

ストーリーも良くて最後はちょっと泣ける感じだ。

泣きはしなかったが、いつ泣いてもおかしくなかった感じだ。

 

 

クリア後の追加要素も600円で買ってしまった。台所用洗剤4本分のお値段だ。

まさかこのゲームに計840円も使うことになるとは。スッパムーチョ5袋分のお値段だ。

 

YouTubeとかですごい人のプレイ動画とか見てると、とっても気持ちいい。


[Deemo] ANiMA (Hard) 100% AC!!!!!

 

もちろんこんな意味の分からない超人にならなくても、ストーリーをクリアすることは誰にでもできるくらい簡単なので安心してほしい。

 

 

 

何もやりたくない、何かはしたい、つまらない

なんだかなー、なんだかなー

今、そんな気分。

なんかしたい、面白い事したい。面白い事見当たらない。

そんな感じ。

そんな時にオススメするのが

 

「他人になりきりごっこ」

 

まず、深夜のファミレスに出向く。

その時、いつもは絶対しないファッションと動作で入店する。

今日の私はドレッドヘア。

深夜なのに真っ黒サングラス。

 

ここまでは、いつもの私。

 

これにびっくりするくらい大きいパーカーと、MAWASHIをコーディネート。

さらに首には大量の数珠を添えるという午後の優雅な紳士スタイル。

よし、見た目は完璧。

準備ができたら家から少し離れた24時間営業のジョイフルに出陣する。

この少し離れたジョイフルというのがポイント。

今後、街で店員さんとすれ違うかもしれないギリギリの距離を攻めてほしい。

店に入る前から戦は始まっている。

まずは背筋をこれでもかと伸ばし靴を引きずらないよう、静かに歩く。

MAWASHIがスサッ、スサッ、と擦れるのを感じて欲しい。

 

ジョイフルの入り口まで来たら、90度の角度で一度お辞儀をする。

この時、3秒間息を止める。

お辞儀をしたら静かに、かといって暗い印象にならないように

 

「失礼します」

 

と、お声がけをする。

そして、いざ入店。

深夜のファミレスは店員がなかなか来ない時があるが、来るまで絶対に待つ。

 

無言で。

 

この時、店員がこちらをチラ見して案内には来ないパターンがあるが、夜なので勝手に座って欲しいという店員側の思惑を察し

 

「お邪魔してもよろしいでしょうか」

 

と、失礼にならない程度に微笑みかける。許可が下りれば、なるべく下座を選んで座る。

邪魔するなら帰れ、と厳しいお言葉を頂いた場合は

 

「これは失礼致しました。できる限りお仕事のお邪魔はせぬよう努力しますのでご容赦頂けませんか」

 

と食い下がる姿勢を見せます。(これでダメだった場合は素直に帰ります)

さて、許可を得て下座に腰を下ろす所まできました。

まず、幕の内朝食を注文します。

幕の内朝食はモーニングメニューにありますが、実はいつでも頼めてバランス良いおかずにご飯、味噌汁、漬物、さらにドリンクバーもついて530円(税込)という破格の値段で提供して頂けます。

※僕の地元のジョイフルでの価格です。

 

洋食がいいという方には、モーニングエッグプレートがオススメです。

モーニングエッグプレートはその名の通り目玉焼きがメインのプレートですがベーコンとソーセージ、サラダ、パン、さらにドリンクバーがついて422円(税込)という破格の値段での提供です。

※僕の地元のジョイフルでの価格です。

 

どちらもとってもリーズナブルで美味しいので是非ジョイフルにご来店ください。

さて、注文をするためにボタンが設置されています。

このボタンは、心が汚いと音が鳴らないという筋斗雲仕様となっておりますので、欲、雑念を捨てる必要があります。

そこで、の心得を習得するために、三年は修行して下さい。

俗物である己の糞にまみれた心を洗い流す為に、絶対に三年は修行してください。

三年間、真夏の砂利の上で瞑想、真冬の滝での瞑想、春に桜が舞う中で瞑想、秋は紅葉観賞と厳しい修行を終えたらボタンを押します。

店員が来るので先ほどのモーニングメニューを頼みます。

しかし、三年間の修行を終えたあなたなら、きっと相手の心に訴えかけるだけで通じるはずです。

念じましょう。

 

(モーニングメニューの幕の内朝食を一膳頂きたく存じます)

 

そう念じましょう。きっと伝わります。

お店に入った時は無愛想だと思っていた店員と心を通わせることができます。

心を通わせたなら、わかるでしょう。店員の苦悩や境遇、それに慈しむ心を持っているということ。

人は一人では生きていけない。それは慈しむ心があるから。

その心を大事にして、自分を信じて人と生きる。これが

 

「他人になりきりごっこ」

 

僕はやったことないですけど

 

 

 

 

 

自己精神革命してますか?

自分の絶対的な信頼を寄せる価値観。

これが何かのきっかけで崩壊する事を、私は革命と呼んでいる。

革命が起きたとき困惑するか、狼狽するか、カルタシスを得るか、はたまた狂気と化すかはその人次第だ。

 

私が小5のとき、それまで完全にイケメンだと自負していた我が顔面。

ふと鏡を見た瞬間に革命が起きた。

 

ブサ・・・メン・・・

 

それまでイケメンだから許される振る舞いを通してきた私にとって、それはあまりにも残酷な仕打ちだった。

必死になる姿がカッコ悪いと思い、秀でてもないのに全力を出さなかったり

あえて1人になりたい雰囲気を醸し出したり

格好を気にしないのが逆にかっこいいと思い、ボサボサの寝癖だらけで登校したり

これらの行為は全てイケメンを前提としたキャラ付けであり、イケメンではないと知った今や全てが崩壊した。

 

さらに残酷なことに、その数日後。

イケメンではないものの、隠れた能力を持っているであろう私が、特に何もない普通の人間あったという革命が起きる。

これはイケメンから関連づけられた価値観であり

イケメン→主人公→最初は弱いけど何かがきっかけで覚醒という、厨二まるだし絶対的固定概念インフェルノであった。

この革命により人気者グループに所属しているリア充どもを

 

(ただのモブが)

 

と心の中で蔑むことが出来なくなり、むしろ俺がモブなんじゃ・・・という思いに苛まれることになる。

不幸の連鎖はこれでは終わらない。革命とは時に確変に入るのである。

 

そのさらに数日後。

いずれは神になると思われた私が、特にそのような事は今後あり得ないという革命が起きる。

これは何となく思い込み続けてきた極地的慢心によって生み出された精神の怪物である。

この怪物のせいで、知能や肉体などは神になる過程で無に帰し、全知全能と森羅万象が手に入ると思っていたため、全く勉強も運動もしてこなかった事が重しとなって私を襲うことになる。

ここまでくると、いつ廃人になってもおかしくない精神状態に追い詰められていたが、この連鎖革命が起きた後も“謎の自信”だけは持ち続けていたため特に何事もなく学校生活を送る事ができた。

 

このように私は革命によって命を脅かされる事になったが、革命がなければ本当に死んでいた。
というかすでに手遅れという所まできていた。昔の知り合いには会いたくない程度には手遅れだった。

 

みなさん革命は計画的に。